属人化とは、担当者しか業務の詳細内容を把握しておらず、その担当者がいないと現場が混乱してしまう状況のことを指します。属人化の解消や業務の見える化、業務の標準化は欠かせません。
そこで本記事では属人化の原因や起こりうるリスク、解決方法などについて解説します。
属人化で悩んでいる方にとって参考になる情報をまとめているため、ぜひ読んでみてください。
属人化とは、特定の担当者しかその業務の詳細な内容を把握しておらず、離職に伴い担当者がいなくなったとき、業務の進め方がわからず現場が混乱してしまう状況のことを指します。
担当者本人しか知らないことが多いと、その担当者が突発的に休職した場合や退職した場合などに属人化があらわになります。
一方で、業務フローや効率的な業務の進め方が見える化されていると、誰もが同じように業務に取り組めるでしょう。そういった状況は「業務の標準化が進んでいる」と言えます。
人材の流動性が高ければ高いほど、担当者が変更になる可能性が高いため、業務の標準化を進めないといけません。
属人化が起こる3つの原因
属人化が起こる3つの原因は以下の通りです。
多忙で共有する余裕がない
業務の専門性が高い
個人成果主義が根付いている
それぞれについて説明します。
多忙で共有する余裕がない
担当者が多忙で共有する余裕がないという原因で属人化に陥っていることは多いでしょう。「部下や後輩に教えるより自分で対応したほうが早い」と考えて共有しないまま時間が過ぎてしまったということも多いのが現状です。
組織は利益を最優先させる傾向があるため、その成果を出すことに精一杯になってしまう心境も理解できます。
そのため、組織のトップが率先して、社内ナレッジを共有する仕組みを整えていく必要があると言えるでしょう。
業務の専門性が高い
業務の専門性が高く、ある程度の知識や経験がなければきちんと業務内容を引き継ぐことができないという状況も考えられます。たとえば、プログラマーや営業などは、独自に築いたスキルやテクニックがあるからこそ、業務に対応できている可能性もあります。
そのため、担当者からほかの社員に共有するのが難しい状況になってしまっていますが、貴重な知識や経験だからこそ共有できると、強靭な組織を作れるため、解決すべき課題だと言えるでしょう。
個人成果主義が根付いている
担当者が意識的に属人化を加速させてしまうこともあります。
あまりにも個人成果主義の組織であると、自分の知識や経験を共有するのが惜しく感じられてしまう可能性もあるでしょう。
社内競争が激しければ激しいほど、自分の知識や経験を守るために秘密主義となってしまい、属人化が進んでしまいます。
属人化によって起こりうる3つのリスク
属人化によって起こりうる3つのリスクは以下の通りです。
担当者が休職や退職すると現場が混乱する
業務がブラックボックス化する
ボトルネックができてしまう
それぞれについて詳しく説明します。
担当者が休職や退職すると現場が混乱する
属人化が起こっていると、担当者が休職や退職した場合、効率的な業務の進め方がわからず現場が混乱するリスクがあります。
さらに、業務をおこなううえでのコツを知らないと、効率的な業務の進め方がわからないだけではなく、そもそも業務を進められないこともありるでしょう。
そうなると、いちから体制を整える必要があり、組織全体にとって大きな損失となります。
業務がブラックボックス化する
属人化により業務がブラックボックス化するというリスクもあります。なお、ブラックボックス化とは、内部がどうなっているか不明な状態のこと。
担当者のみが業務に対応しており、個人に依存していると、具体的な作業内容や進捗状況がほかの社員からは不透明になってしまい、チーム全体の協力体制が整いません。
属人化と同時に過重労働が発生してしまっている場合、担当者が体調不良で休んでしまった場合、ほかの社員が代行することができず、組織全体の連携がとれないこともあるでしょう。
ボトルネックができてしまう
属人化が起きると、ボトルネックが発生してしまうことも少なくありません。ボトルネックとは、一連の工程のなかで業務の停滞や生産性の低下を招いている箇所のこと。
担当者が一時的であれ離職してしまうと、効率的な進め方を把握している社員がおらず、業務が滞ってしまうリスクが高まります。その業務が滞ってしまうと、一連の工程すべてに遅延が発生することも多いため、組織全体の利益が下がってしまいます。
とりわけ属人化が好ましくない4つの業務
さまざまな業務がありますが、とりわけ属人化が好ましくない4つの業務は以下の通りです。
バックオフィス業務
進捗管理
営業活動
トラブル発生時の対応
それぞれについて詳しく説明します。
バックオフィス業務
総務や経理などのバックオフィス業務は、担当者によってやり方が異なるということはあってはなりません。
誰であっても同じ品質で業務を遂行できる状況であるのが理想的です。バックオフィス業務は、一見目立ちにくいかもしれませんが、さまざまな部署と連携しており、ボトルネックになりかねない業務のひとつです。
とりわけ、近年は、正社員だけではなく雇用期間が定められている派遣社員がバックオフィス業務に就くことも多いでしょう。誰が対応しても同じ品質を担保するために、業務フローを明確にしてマニュアルを作成しておくのが理想的です。
進捗管理
進捗管理は属人化すると、現場が混乱しやすい業務のひとつです。
プロジェクトを管理する担当者(リーダー)は必ずいるはずですが、その進捗状況は全メンバーが把握できており、何か遅延があればチーム全員でフォローできる体制を整えておかないといけません。
「誰がいつ何に対応すべきか」「進捗は順調か」などを相互に把握しておくことは重要で、もし担当者に何かあった場合、いつでも進捗管理を代行できるようにしておく必要があります。
営業活動
属人化しがちですが、その属人化の状況は好ましくない業務として営業活動が挙げられます。
自社の商品やサービスの説明は、原則として全社員が同じように答えられないといけません。前の担当者はこう言っていたが、今回は違うことを説明されている状況は、お客様に混乱を招き、しいては組織への不信感につながります。
そのため、組織のウェブサイトで公開される情報と営業で伝えている情報は合致させて、統一感を持たせる必要があります。
営業活動は、個人成果主義になりやすいため、独自のノウハウは共有されにくいところですが、だからこそ定期的に教育機会を設けてノウハウを共有する意識を持たないといけません。
トラブル発生時の対応
トラブル発生時の対応は非常に重要な業務です。
トラブルの内容はケースバイケースかもしれませんが、可能な限りルール化や標準化を進めたいところ。トラブルは初期段階に正しい判断を下し、早期に解決できれば組織全体の印象の悪化は防げるかもしれません。
反対に言うとトラブル対応の仕方を間違うと、組織の信頼を失いかねません。そういった組織の経営リスクにも関わる重要な対応フローが担当者によって変わるということは避けたいですよね。
属人化を解決するための4ステップ
属人化を解決するための4ステップは以下の通りです。
業務内容の把握
優先して属人化を解決する業務の洗い出し
業務を標準化する仕組みの構築
継続的なモニタリングと改善
それぞれについて詳しく説明します。
1.業務内容の把握
まずは、業務内容の把握から始めましょう。業務がブラックボックス化しているのであれば、ひとつひとつの業務内容を紐解いていきます。
2.優先して属人化を解決する業務の洗い出し
とりわけ、バックオフィス業務や進捗管理、営業活動、トラブル発生時の対応など、属人化が好ましくない業務の優先順位を高めて対応するのが望ましいです。
業務内容を把握していくなかで、改善の余地がある業務フローが見えてくることもあるでしょう。こういった思いがけない成果を得られるメリットもあります。
3.業務を標準化する仕組みの構築
業務を洗い出したら、標準化する仕組みを構築します。
たとえば、バックオフィス業務であれば、よくある社員からの質問に対してFAQを作っておき、共有する仕組みを整えるとよいでしょう。さらに、引き継ぎが上手くいくようマニュアルを作成しておくのも有効です。
4.継続的なモニタリングと改善
業務を標準化できても、それで終わるわけではありません。継続的なモニタリングと改善の姿勢が必要不可欠です。
そのためにPDCAサイクルを回しましょう。なお、PDCAサイクルとは以下を繰り返すことで品質を高めるフレームワークのこと。
Plan(計画)
Do(実行)
Check(測定・評価)
Action(対策・改善)
なるべく属人化している担当者がいるときに業務の標準化を図るようにしましょう。FAQやマニュアルを作成する場合、ブラックボックスの中を知っている人がいたほうが進めやすいためです。
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