OKRとは「Objectives and Key Results」の略称で、目標設定や目標管理の手法のひとつです。社員が企業の目標を前向きに達成することやチームワークの強化に役立つ重要なもの。しかし、MBOやKPIに比べると認知度が低いかもしれません。
そこで本記事ではOKRの特徴やメリット・デメリット、導入する際の注意点などについて解説します。
社員の目標設定や目標管理に苦戦している方は、ぜひ参考にしてください。
OKRとは、目標設定や目標管理の手法のひとつで、「Objectives and Key Results」の略称です。Objectivesは「目標」のこと、 Key Resultsとは「主要な成果」のことを指します。たとえば、以下のようなOKRが考えられるでしょう。
Objectives:顧客満足度を向上させる
Key Results:リピート率を40%にする
OKRとは、企業の重要な「目標」と「主要な成果」を決定したうえで、企業の目標とリンクさせながら、チームのOKRを細分化しながら設定します。その次に、個人のOKRを設定することで、企業が求めている結果がチームの目標および個人の目標となり、企業・チーム・個人の努力する方向性が統一されます。
つまり、OKRの特徴は、企業やチーム、社員などが同じ目標に向けてポジティブに取り組めるようになるところです。また、1~3ヵ月といった高い頻度で目標設定し、正確に評価することが簡単だとされています。このOKRは、Googleやインテルなどのシリコンバレー有名企業が導入していることで有名になりました。
なお、「Objectives(目標)」は以下の特徴を持ちます。
定性的な目標
チャレンジング
シンプルで覚えやすい
1~3ヵ月で達成できる
長くても四半期(3ヵ月)で達成できる目標を掲げましょう。そして、「Key Results(主要な成果)」は以下の特徴を持ちます。
定量的で数値評価できる
ストレッチ目標(難しすぎず簡単すぎず、手が届くよりも少し高い位置にある目標)
60~70%の達成度でクリアしたとみなす
2~5個くらい設定する
MBOとの違い
OKRと混同されやすいものとして「MBO(Management by Objectives and Self Control)」としてあります。
MBOは、個人の自主性を尊重しながら方向性を定めて、企業の目標達成を目指すマネジメント手法です。
NBOでは、目標に対して100%以上のパフォーマンスをこなすことが期待されており、基本的に1年間ごとに評価をおこなう点がOKRと異なります。
KPIとの違い
「KPI(Key Performance Indicator)」とは、重要業績評価指標のことで、最終目標を達成するために必要なプロセスが適切に実施されているかをチェックするための中間指標のこと。
KPIでは、企業単位ではなく部署やプロジェクト単位で実現可能な数値を設定し、100%達成を目指すところが、OKRと異なります。
360度評価との違い
360度評価とは、上司だけではなく、先輩や部下などさまざまな立場にある複数人の人が評価すること。通常の評価よりも多角的になるため、本人の納得感が高いとされています。
ノーレーティングとの違い
ノーレーティング(No Rating)とは、社員を点数やランク付けで評価しないという手法のことです。対話を重視して、目標を達成できているか、どういったフィードバックをするかなどを確認します。
コンピテンシー評価との違い
コンピテンシー評価とは、業績を上げるための行動特性(コンピテンシー)を基準として、個人の能力を評価する手法のことです。
企業の目標達成のための行動を分析して明確にするため、人事評価だけでなく人材育成にも役立つとされています。
OKRを導入する4つのメリット
OKRを導入する4つのメリットを紹介します。
社員が企業の目標を達成しようとする
チームワークを強化できる
タスクの優先順位を意識できる
社員のモチベーションが向上する
それぞれについて詳しく説明します。
社員が企業の目標を達成しようとする
社員の個人目標は、企業の目標とリンクされているため、個人の努力が企業の業績向上につながります。社員にとってみると、企業の目標を達成しようとするモチベーションが上がり、企業と社員の双方にとって有益な状況が生まれます。
チームワークを強化できる
社員の個人目標は、チームの目標ともリンクされているため、チーム全員で目標を達成しようとし、チームワークが強化されます。
一度チームで成功体験を生むと、お互いに感謝の気持ちが芽生え、さらにチームワークが強固なものになるでしょう。
タスクの優先順位を意識できる
社員は、さまざまな複数の業務を抱えており、ときにはタスクの優先順位に困るかもしれません。しかし、OKRがあれば、個人およびチーム、企業の目標が明確になっているため、「その目標を達成するためにはどれを優先すべきか」という思考を巡らすことができるようになります。
社員のモチベーションが向上する
企業の目標と社員の目標がリンクされているため、社員一人ひとりの努力が自社にどのように影響するかわかりやすく、仕事のモチベーションが上がりやすくなります。
OKRを導入する2つのデメリット
OKRを導入するデメリットは以下の2つです。
丁寧な説明や運用方法の調整などの手間と時間が必要になる
無理な目標達成を求められてモチベーション低下を招くことがある
それぞれについて詳しく説明します。
丁寧な説明や運用方法の調整などの手間と時間が必要になる
初めてOKRを導入する場合、丁寧な説明や運用方法の調整などの手間と時間が必要になるというデメリットが挙げられます。
たとえば、すでに100%の目標達成を目指す目標管理を導入していた場合、60~70%の達成度で成功とみなすOKRに頭を切り替えるのが難しいかもしれません。この場合、自然にハードルが低い目標を設定しがちですので、社内にOKRを定着させるためには時間がかかります。
無理な目標達成を求められてモチベーション低下を招くことがある
OKRは、60~70%の達成度で成功とみなすため、自ずと目標達成のハードルが高くなりがちです。
そうすると、社員によっては「そんな高い目標は到底達成できない」と前向きな気持ちになれず、モチベーションが低下してしまう恐れもあります。
そこで、全員が高い目標を掲げていることや、60~70%の達成度で成功とみなすことなどを何度も強調して伝えることで、モチベーション低下を防ぐことが大切です。
OKRを導入する際の注意点
OKRを導入する際の注意点は以下の3つです。
達成率100%を目指さない
社員の評価や報酬に結び付けない
OKRの成果を社内で共有する
それぞれについて詳しく説明します。
達成率100%を目指さない
何度か繰り返していますが、OKRでは100%達成できるような低い目標は立てません。チャレンジングになるような目標を設定することでOKRは成り立つため、社員全員にこの考え方を浸透させるようにしましょう。
社員の評価や報酬に結び付けない
OKRは、社員の評価や報酬に結びつける手法ではありません。
OKRは、社員やチームがどのようなことに力を入れていたか、企業が設定した目標の達成に向けてどれくらい努力したか、などを把握するためのものです。
もし、OKRを社員の評価や報酬に結びつけてしまうと、社員はチャレンジングな目標を立てることを避けてしまうでしょう。それでは、企業の成長は見込めないため、社員の評価や報酬には別の視点が必要です。
OKRの成果を社内で共有する
OKRを導入した後は、評価した成果を社内で共有するようにしましょう。社員にとってみると、チームや企業が目指すところはどこで、どのくらい目標を達成できたかどうかは、非常に興味深い内容だと考えられます。
また、OKRの成果を社内で共有することで、次回のOKRにうまく反映させることもできるかもしれません。
OKRを導入するための7つのステップ
続いて、OKRを導入するための7つのステップについて紹介します。
企業のOKRを設定する
チームのOKRを設定する
個人のOKRを設定する
週に1回ほど進捗を確認する
中間レビューで進捗を確認する
最終評価をおこなう
最終評価を反映させた次回のOKRを設定する
それぞれについて詳しく説明します。
1.企業のOKRを設定する
まず、企業のOKRを設定します。基本的に、1つの企業につき1つのOKRを設定するのが望ましいとされています。
なお、このOKRは、経営者のトップダウンで決めるのではなく、各部署からヒアリングすることで、現場の意見を取り入れるとよいでしょう。
2.チームのOKRを設定する
企業のOKRを参考にして、チームのOKRを設定します。この際、企業のOKRとリンクしているか、必ず確認するようにしてください。
これも、現場の社員の意見を取り入れて、トップダウンで決めてしまわないようにしたいですね。
3.個人のOKRを設定する
企業のOKRおよびチームのOKRを参考にして、個人のOKRを設定します。
新人は、OKRに慣れている上司や先輩と相談しながら設定するとよいでしょう。同僚のOKRも参考になるため、相互コミュニケーションを取れるとよいですね。
4.週に1回ほど進捗を確認する
週に1回ほど、進捗確認して、現在地を確認します。進捗確認のポイントは以下の通りです。
OKRの進捗を定量的に確認する
達成できる見込みはどれくらいかあるか確認する
課題や達成を阻害する要因を検討する
このようにOKRを達成するための道筋を立てていきます。
5.中間レビューで進捗を確認する
1.5~2ヵ月ごとに中間レビューをおこない、進捗を確認します。
あまりにも現実とかけ離れたOKRを設定してしまった場合は、目標を再設定しても問題ないとされています。しかし、なるべくこういった事態にならないように、初期のOKR設定は慎重におこないましょう。
6.最終評価をおこなう
OKRで設定している期限になったら、最終評価をおこないます。
ただし、前述した通り、この評価は、社員の評価や報酬に結び付けないということを意識しましょう。もし、社員の評価や報酬に結び付けてしまうと、そもそもチャレンジングな目標を立てず、必ず達成できる低い目標を立ててしまうことになるためです。
7.最終評価を反映させた次回のOKRを設定する
OKRの評価を分析し、引き続き同じOKRを掲げるか、別のOKRに切り替えるかなどを判断しましょう。
次回のOKR設定に最終評価を反映し続けると、ブラッシュアップされた内容になるはずです。
OKRのおすすめ管理ツール「Lark」
OKRの運用に「Lark」を使おう
この記事では、OKRの特徴やメリット・デメリット、導入する際の注意点などについて解説しました。
OKRでは、評価スコアが 0.6~0.7(達成度が60~70%) であることが理想的です。スコアが常に高めの場合は、設定したOKRが保守的で、パフォーマンスを高める効果がないことを意味している可能性があります。
こういった評価を正確におこなえるのが、Larkです。まずは、どういった機能が付いているか、どのように実施するかなどをチェックしてみてください。
OKRをExcelやGoogleスプレッドシートで運用している方もいるかもしれませんが、Larkのことを知ると、その機能性の高さに魅力を感じるはずです。さらに、アクセス権限を調整すれば、同僚のOKRを知ることができ、相互コミュニケーションを活性化できるでしょう。
もしLarkについて知って、何か疑問点が出てきたら、お気軽にLark担当者にお問い合わせください。