わずか数分で映像動画やイラストを制作したりプログラミングしたりして、一躍注目を集めているのがAI(Artificial Intelligence:人工知能)です。そんなAIは翻訳にも一役買います。
そこで今回は、AI翻訳の基本的な機能やメリット・デメリット、AI翻訳ツールを選ぶ際のポイントなどを解説します。
時間や労力を削減できて生産性が上がり、多言語に柔軟に対応できるAI翻訳に興味がある方はぜひ読んでみてください。
AI翻訳とは、AI(Artificial Intelligence:人工知能)を活用して文章を自動的に翻訳することです。
AI翻訳が出た当初は、やや違和感のある文章に翻訳されることも多かったですが、最新のAI翻訳は精度が上がり、文章全体の意味を理解したうえで自然に翻訳することができることも増えてきました。
さらに、ディープランニング(深層学習)を搭載し、専門用語の翻訳にも対応可能です。たとえば、医療分野や法律分野、建築分野など、それぞれの分野のみで使われるような専門用語も対応できるため、専門書を読解することもできます。
とりわけ海外と取引する企業では、外国語でメールや契約書をやり取りすることも多いでしょう。そういったときに、わざわざ翻訳者に依頼するのは面倒に感じるはずです。
そこでAI翻訳を活用して、すぐに理解できるようにする人が増えてきているわけです。
基本的な機能
AI翻訳に搭載されている基本的な機能は、以下の通りです。
ニューラル機械翻訳:ディープラーニング技術を用いて翻訳する
編集による学習:編集した翻訳内容をAIが自動学習して翻訳データをカスタマイズする
文書翻訳:WordやPDFなどの文書を丸ごと翻訳する
多言語対応:英語だけではなく、中国語や韓国語など複数の言語に対応する
翻訳サービス:AIでは対応しきれない場合、プロの翻訳者に依頼する
AI翻訳ツールや自動翻訳ソフトのメリット
続いて、AI翻訳ツールや自動翻訳ソフトのメリットについて解説します。
時間と労力が削減できて生産性が上がる
多言語に柔軟に対応できる
AIが学習していくため、次第に翻訳の精度を上げられる
社内で翻訳作業をおこなうため、情報の流出を防げる
それぞれについて詳しく説明します。
時間と労力が削減できて生産性が上がる
AI翻訳ツールを導入することで、多言語を扱うことができる従業員の負担が軽減されます。もし、社内に翻訳者がいない場合、外部に依頼することになりますが、それには費用がかかります。
つまり、AI翻訳ツールを導入することで、時間や労力、費用などを削減できて、生産性が上がります。簡単な文章であれば、ものの数秒で翻訳でき、円滑に業務に対応できるためです。
多言語に柔軟に対応できる
基本的にAI翻訳ツールは、英語だけではなく、中国語や韓国語などの多言語に対応可能です。
たとえば、アジア各国と取引する企業の場合、英語・中国語・韓国語、すべてを駆使する必要があるかもしれません。こういった場合、日本語を含めた4か国語を翻訳できる人材を探すのは非常に困難で、かつ、採用コストがかかるはずです。
その点を考慮すると、AI翻訳ツールを活用するのが効率的な手段だと言えます。
AIが学習していくため、次第に翻訳の精度を上げられる
AI翻訳ツールは、やや不自然な日本語になったり専門用語を間違って解釈していたりすることもあるかもしれません。そのため、最初は、翻訳の精度に満足できないこともあるでしょう。
しかし、AIは継続的な学習と改善により、将来的にはさらなる高精度な翻訳が期待できます。これからは医療や法律など、専門用語がたくさん出てくる文章にも対応できるでしょう。
社内で翻訳作業をおこなうため、情報の流出を防げる
社内に翻訳者がいない場合、外部の翻訳者に依頼することになりますが、それはつまり情報を社外に出すということです。
もちろん、翻訳者とは秘密保持契約を結ぶはずですが、万が一のリスクに備えると、そもそも社内で翻訳作業に対応できるほうが望ましいはずです。
AI翻訳ツールを導入するということは、優秀な翻訳者を雇うのと似たメリットを享受できることだと言えます。
AI翻訳ツールや自動翻訳ソフトのデメリット
対して、AI翻訳ツールや自動翻訳ソフトのデメリットについて解説します。
現時点では完璧な翻訳は期待できない
ツールやソフトの導入および維持のコストがかかる
クラウドサービスのツールやソフトのためセキュリティ面の懸念がある
それぞれについて詳しく説明します。
現時点では完璧な翻訳は期待できない
現時点では、AI翻訳ツールは、文章の直訳は得意なものの、文化的背景や細かいニュアンスなどを完全に理解することはできず、完璧な翻訳は期待できません。
たとえば、皮肉や冗談、比喩などを理解するのは、人間の翻訳者でも難しいですが、AIにとってはさらに難易度が高く、不得意とする分野です。
ツールやソフトの導入および維持のコストがかかる
AI翻訳ツールの中には、導入コストが高いものもあります。
とりわけ、翻訳精度が高く、編集による学習ができたり人間による翻訳サービスに移行できたりするAI翻訳ツールは高額になりがちです。
さらに、AI翻訳ツールを適切に使いこなすためには、従業員のトレーニングが必要な場合もあります。トータルで考えると、さまざまなコストがかかることになります。
クラウドサービスのツールやソフトのためセキュリティ面の懸念がある
多くのAI翻訳ツールは、クラウドサービスです。なお、クラウドサービスとは、インターネット経由でソフトウェアやインフラなどの各種機能を利用できるサービスのこと。
クラウドサービスである以上、情報のプライバシーやセキュリティに関する懸念が生じます。翻訳ツールのプロバイダーが情報を適切に管理および保護していない場合は、情報漏洩のリスクがあります。
AI翻訳ツールや自動翻訳ソフトを選ぶときの7つのポイント
ここからは、AI翻訳ツールを選ぶときのポイントについて解説します。ポイントは以下の7つ。
翻訳の精度は問題ないか
AIチューニングの手間が少ないか
必要な言語を網羅しているか
対応できる分野か
すべての従業員にとって使いやすいか
データ保護とセキュリティ対策は万全か
費用対効果は高いか
それぞれについて詳しく説明します。
翻訳の精度は問題ないか
AI翻訳ツールを選ぶときは、何よりも翻訳の精度を重視してください。翻訳の精度が低いと、生産性を上げることができません。
とりわけ自社が扱う専門用語も対応できるか確認しましょう。ツールを選ぶときは、同じ文章を複数のAI翻訳ツールに翻訳させて、もっとも自然なものを選ぶのがおすすめです。
この際は、文脈や細かなニュアンスもきちんと反映されているか確認してください。
AIチューニングの手間が少ないか
AIチューニングの手間が少ないかどうかも大切なポイントです。
AIチューニングとは、さらに精度のよいAI翻訳ツールにするために、入力データやパラメータを調整したり修正したりすること。
翻訳の精度を上げるために必要かつ重要な工程です。AIチューニングは、定期的に専門用語の追加や翻訳修正をおこなう必要があり、手間がかかります。
この手間の楽さによってAI翻訳ツール運用後の効率が左右されるため、導入する前に無料トライアルを利用して操作性を確認しましょう。
必要な言語を網羅しているか
自社にとって必要な言語を網羅しているかどうかもしっかり確認してください。
一般的には、英語に翻訳する必要がある企業が多いかもしれませんが、企業によっては、中国や韓国との取引が多いところもあるでしょう。その場合は、もちろん中国語や韓国語に対応しなければいけません。
たとえば、英語翻訳の精度は高いけれども、中国語翻訳の精度が低いということもあるため、そのあたりも総合的に判断したいですね。
対応できる分野か
翻訳したい文章の専門性が高ければ高いほど、翻訳の難易度は上がります。
そのため、専門用語を辞書登録したりAIチューニングをおこなったりするわけですが、そもそも自分の分野に強みを持つAI翻訳ツールを選ぶほうが手っ取り早いでしょう。
このあたりは、過去に導入している企業を見比べるとよくわかるかもしれません。
すべての従業員にとって使いやすいか
AI翻訳ツールを初めて使う従業員にとっての使いやすさも重視してください。
直感的にわかりやすいデザインのAI翻訳ツールであれば、初めて使う人やたまにしか使わない人でも問題なく対応できるでしょう。
あくまでもAI翻訳ツールは作業効率を上げて生産性を高めるためのもの。使いにくくて従業員にストレスを与えるものはふさわしくありません。
データ保護とセキュリティ対策は万全か
機密情報も取り扱うため、データ保護とセキュリティ対策は万全か確認しましょう。
AI翻訳ツールの中には、SSL化通信や頑丈な国内データセンターの利用など、十分なセキュリティ対策が施されているものもあります。
さらに、具体的にどのような対策がおこなわれているか、AI翻訳ツールを販売する営業担当者に聞いてみるとよいでしょう。自社が求めるセキュリティ水準を満たすかどうかチェックします。
費用対効果は高いか
一般的に、AI翻訳ツールを導入するとさまざまなメリットを享受できますが、そのAI翻訳ツールの利用料だけではなく、AI翻訳ツールを使いこなすための労力や、翻訳にかかる時間(待ち時間)などを考慮して、費用対効果はどれだけあるのか、試す必要があります。
単純なAI翻訳ツールの利用料だけではなく、それに付随するコストもトータルで考えましょう。
おすすめのAI翻訳ツールや自動翻訳ソフト3選
おすすめのAI翻訳ツールを3つ紹介します。
①Lark Minutes(Lark Japan株式会社)
まず、1つ目はLark Japan株式会社が提供する「Lark Minutes」です。英語や中国語、韓国語、ベトナム語、ドイツ語、フランス語など、18言語をリアルタイム翻訳可能です。
さらに、「Lark Minutes」には文字起こし機能も付いており、たとえば会議の議事録を多言語に翻訳する作業も簡単におこなえます。
②Mirai Translator(株式会社みらい翻訳)
2つ目は、株式会社みらい翻訳が提供する「Mirai Translator」です。総務省の要件に対応した高水準のセキュリティと優れた翻訳品質を合わせ持つのが魅力的です。
TOEIC960点の人間に匹敵するほど高い精度の翻訳を実現し、契約書やレポートなどを短時間で作成できるようになるでしょう。
③SYSTRAN(シストランジャパン合同会社)
3つ目は、シストランジャパン合同会社が提供する「SYSTRAN」です。高性能のニューラル機械翻訳と専門用語のAI学習の蓄積で、人間の翻訳者と同等レベルの精度を実現します。
さらに、各国の政府や国際機関などの厳格な条件を満たしたセキュリティ対策が施されています。