物流管理は、依頼された商品を時間通りに適切な量を届けるために必要なこと。
しかし、物流管理は複雑で、とくに近年では作業量の増加および人手不足などの課題があります。
そこで本記事では、物流管理のポイントや効率的な物流管理をおこなうために役立つツールなどについて解説します。
安価ですぐに導入できる役立つツールを紹介するため、ぜひ最後まで読んでみてください。
物流管理とは、顧客から依頼された商品を適切に届けるためにおこなう、物流業務全般の管理のこと。
具体的に物流管理に含まれるものとしては以下が当てはまります。
荷役:倉庫からの商品の出し入れやトラックへの積み下ろしなど
保管:商品を倉庫に一時的に置いておくこと
梱包および包装:商品を袋やダンボールなどに入れること
輸送および配送:商品を目的地まで運ぶこと
流通加工:商品のタグ付けやギフト加工など
情報システム:在庫や配送情報などのデータ管理をすること
物流管理の目的
物流管理の目的は、主に以下の4つに分けることができます。
誤配送をなくして指定の日時に届ける
商品の品質を保つ
欠品や余剰をなくす
物流コストを最適化する
それぞれについて解説します。
誤配送をなくして指定の日時に届ける
顧客の依頼通りに指定の日時に商品を届けることが大前提となります。
誤配送が発生したり指定の日時に届けられなかったりすると、顧客からの信頼を失ってしまいます。
仮に、ミスが発生してしまった場合は、その原因を探って改善しましょう。たとえば、商品が整理整頓されずに置かれていたため、伝票の貼り間違いが発生した、2人のスタッフによるダブルチェックが機能しておらずミスが見過ごされた、などの原因が考えられます。
また、ときには流通ルートを見直さないといけないかもしれません。その際は、情報システムで管理しているデータを分析し直す必要があるでしょう。
商品の品質を保つ
商品の品質を保つことも大切です。たとえば、トラックへの積み下ろしが雑であれば、商品が入っている箱が崩れてしまうかもしれません。
商品の品質が落ちると、クレームや返品などにつながってしまいます。つまり、顧客からの信頼を失ってしまうということ。
物流管理では、スピードも要求されますが、丁寧に扱い、商品の品質を落とさない必要があります。
欠品や余剰をなくす
在庫状況を的確に把握して、注文を受けても商品を用意できなかったり在庫が多くて余分なスペースをとったりすることは防がないといけません。
そこで大切になってくるのが、情報システムです。たとえば、売上の推移を分析して、どのくらいの注文が入るかあらかじめ予測することも重要です。
さらに、在庫情報をオンラインで把握し、欠品や余剰が発生しそうになったら、早期に改善するといった対応をとる必要があるでしょう。
物流コストを最適化する
物流管理の目的のひとつは、物流コストの最適化です。
物流業務は、荷役や保管、梱包および包装など、複数の業務がありますが、それぞれ見える化し、まとめて管理することで、不要なコストを削減することができます。
たとえば、スタッフひとりひとりの作業を効率化したり、適切な在庫管理をおこなえたりできると、総合的な物流コストを下げることができます。
物流管理における2つの課題
続いて、物流管理における2つの課題について取り上げます。その2つの課題とは以下の通りです。
作業量の増加および人手不足
作業の属人化が起きやすい
それぞれについて解説します。
作業量の増加および人手不足
近年、ネットショッピングが人気となり、物流管理で取り扱う商品数が増大しました。その結果、作業量が増加しているのですが、担い手が足りておらず、慢性的な人手不足となっている現場もあります。
作業の属人化が起きやすい
物流管理では、作業の属人化が起きやすいと指摘されています。
なお、属人化とは、特定の業務に関する手順や状況などの情報が作業担当者しか把握しておらず、周囲に共有されていない状態のことです。
とりわけ、ベテランスタッフが陥りやすいとされています。こういった状態だと、ベテランスタッフが何らかの理由で現場を離れることになったら、混乱が生じてしまいます。
物流管理の3つのポイント
次に、物流管理の3つのポイントについて解説します。
オンタイムの情報を共有および管理する
明確なルールを設ける
正確なデータを把握する
それぞれについて深堀します。
オンタイムの情報を共有および管理する
物流管理では、オンタイムの情報を共有および管理することが必要不可欠です。
とりわけ、倉庫と情報システムを扱う事務所が離れている場合、情報伝達時の漏れやタイムラグが発生しやすくなってしまうため、「いまどういった状況なのか?」について把握する意識を強く持たないといけません。
オンタイムの情報を共有および管理していないと、作業ミスや在庫管理ミスが発生し、余分な作業に対応する必要が出てきます。
データは一元管理して、俯瞰して見えるような仕組みを整えるとよいでしょう。
明確なルールを設ける
物流管理では、新しく入ったスタッフもすぐに業務に慣れ、属人化を防ぐために、明確なルールを設けるのが理想的です。
スタッフが誰であっても画一的な物流管理ができるような仕組みをつくり、在庫ロスや欠品状態などを防ぐことによって、販売機会の損失を防ぎましょう。
正確なデータを把握する
商品は「何が、どこに、どのくらいあるのか?」ということを正確に把握しておかないといけません。
たとえば、賞味期限のある商品の場合、古いものから順番に出荷しないと、倉庫内で賞味期限が切れることも起こり得るでしょう。そうなると、販売ができないため、大きな損失となります。
物流管理では、一元管理のうえ、可能な限り見える化するのが重要です。
効率的な物流管理をおこなうために役立つツール
規模が大きくなればなるほど、物流管理は煩雑化します。そこで活用したいのが、さまざまなツールです。今回は、効率的な物流管理をおこなうために役立つツールを紹介します。
自動点呼ツール
物流KPI
倉庫管理システム
物流管理システム
在庫管理システム
受注管理システム
輸配送管理システム
バーコードおよびQRコード
RFID
物流アウトソーシング(3PL)
それぞれの特徴を挙げていきます。
自動点呼ツール
自動点呼ツールは、主に輸送および配送で役立つツール。
トラックで輸送することが多いですが、そのトラックの運転手には守らないといけないルールがいくつかあります。そのひとつが点呼です。
運転免許証といった輸送をおこなううえで必須のものを付帯しているか、アルコールは飲んでいないか、体調は問題ないか、などのチェックをおこないます。
これらは、運転前と運転後に必ずおこなわないといけないもの。ツールを導入してなるべく自動化させないと、効率的に業務をおこなえません。
物流KPI
物流KPIとは、物流管理におけるKPI(Key Performance Indicato:目標達成のなかで最も重要なプロセスを数値化した指標)のこと。
たとえば、生産性やコストを改善したいのであれば「人時生産性(庫内作業)= 処理ケース数 ÷ 投入人時」や「数量あたりの物流コスト = 物流コスト ÷ 出荷数量」などを、KPIとして掲げるとよいでしょう。
倉庫管理システム
倉庫管理システムとは、「WMS:Warehouse Management System」と呼ばれるツールのこと。
倉庫内の作業を効率化するために、入出庫管理機能や在庫管理機能が備わっています。さまざまな会社が倉庫管理システムを提供しているため、自社に合ったものを選ぶ姿勢が必要です。
物流管理システム
物流管理システムとは、物流に関する工程や商品の情報を管理するシステムのこと。
近年は、商品の増加や作業の煩雑化が進んでいるため、物流管理システムの導入が必要となってきました。この物流管理システムは「倉庫管理システム(WMS)」と「配送管理システム(TMS)」の2つに分けることができます。
在庫管理システム
在庫管理システムとは、倉庫の外側から見た倉庫への流入および流出を管理するツールのこと。
倉庫管理システムと反対になる形で、物流を管理します。つまり、在庫管理システムと倉庫管理システムのデータが合致すると、正しく管理していると言えます。
受注管理システム
受注管理システムとは、顧客からの注文や伝票ベースの受注処理といった受注管理業務をおこなうツールのこと。
受注データをデジタル化することで、在庫管理システムや請求管理システムなど、さまざまなツールと連携させることができます。とりわけ受注では、商品の誤認識や数量ミスといったことが起こりやすいため、デジタル化してシステム管理する必要があります。
輸配送管理システム
輸配送管理システムとは、「TMS:Transport Management System」と呼ばれるツールのことで、物流センター全体を管理しています。
具体的には、輸送車および配送車の台数、スケジュール管理や物流センター内の在庫状況管理などを担います。
バーコードおよびQRコード
日々の生活のなかでよく見かけるバーコードおよびQRコードも物流管理で活かされています。
物流管理では、商品の位置情報についても正確な把握が必要です。倉庫内や物流センターにおける商品情報管理のためには、検品作業量が膨大になりますが、バーコードやQRコードを活用することで、作業効率性を上げることができます。
RFID
RFIDとは、「Radio Frequency Identification」の略称で、電波を用いてRFタグのデータを非接触で読み書きするシステムのこと。
バーコードやQRコードのスキャンとは異なり、RFIDは電波で複数のタグを一度にスキャンすることができます。電波が届く範囲であれば、タグが遠くにあっても読み取りが可能です。一度に多くの商品の情報を管理するときに役立つでしょう。
物流アウトソーシング(3PL)
ときには、物流事業をアウトソーシングすることも検討するとよいかもしれません。物流事業をアウトソーシングすると、自社のコア事業に集中することができます。